職場で起こりやすい。。しかしセンシティブな問題・・・スメハラ(スメルハラスメント)の対応実務
- 寺島戦略社会保険労務士事務所
- 7月8日
- 読了時間: 3分
労務の現場では、ハラスメント問題はセクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティ・パタニティハラスメント、ケアハラスメントなど含め、企業様からご相談が多いものの一つです。
上記のハラスメントは相談窓口への訴え等があり、いわば「会社の公式対応」としてかっちりと対応がすすむことが多い印象ではあります。
一方で、相談窓口等には相談はきていないものの、特に夏場になると内々に人事労務に相談が多いものとして「スメハラ」があります。
スメハラとは?
スメハラとはスメルハラスメントの略であり、臭いにより周囲の職場環境を悪化させる行為と認識されています。
特段厚生労働省等から公式な定義があるようなものではありませんが、特にコミュニケーション上近くに接することの多い職場では、よく訴えのあるものの一つです。
臭いの範囲には、体臭・口臭にとどまらず、一般的に良い香りと捉えられる柔軟剤や香水等も含まれます。
(職場で発生する臭いの原因)
1.体臭・口臭
2.香水
3.アロマオイル
4.柔軟剤
5.食品等の嗜好品(社内のおやつ用のするめ等)
消費者庁HPのリーフレット:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/other/assets/consumer_safety_cms205_230711_01.pdf

臭いの問題は難しい
スメハラは非常にセンシティブな問題です。指摘するのもなかなか難しいですが、指摘されるほうも傷つくことになりかねません。
また臭いの発生については、「ご病気由来の可能性」もあり、ご自身の努力で改善が難しいこともあります。
また公に定義されていないこともあり、かつその特性上スメハラが法的に罰則対象とされることはないかと考えられます。
とはいえ、企業には従業員の快適な職場環境を整備する安全配慮義務もあり、働くみなさんの就労環境上、そのまま放置するということもまた問題です。
スメルハラスメントの現実的なSTEPとは?
職場で臭いの問題が生じた場合どう対応すべきなのでしょうか。現実的に取りうる流れは下記のような流れです。(下図は寺島戦略社会保険労務士事務所策定)

スメルハラスメントで職場環境が悪化しないための心構え
スメルハラスメントに際して、職場環境が悪化しないようにするために、「働く方すべてが下記を理解しておくことが重要」と当社で研修を行う際にはお伝えしています。
お互いが気持ちの良い職場となるように相互理解が重要と考えています。
1 | 臭いの感じ方には個人差があることを理解する。自分にとっては気にならない・いい香りでも他人にとってはそうでないことも、その逆もありえる。 |
2 | 臭いの発生原因には、ご自身で改善可能なこと(定期的にお風呂に入る、歯磨きをする等)だけではなく、ご病気等で改善が難しいこともあることも理解しておく。 |
3 | 臭いにより頭痛等の病気やアレルギー症状がでる方がいることを理解する。(柔軟剤による化学物質過敏症等) |
4 | 職場は多くの方が一同に会して働く場であり、みだしなみや清潔を保つことは就業規則上にも規定されていることを理解し清潔には努める。 |
5 | 臭いに関することはデリケートな問題であり、指摘する際にも過度に否定する等ではなく、伝え方には配慮する。(あの人臭いよね?のような話題を避け、不当に臭いについて周囲に触れ回ることはNGと理解する) |
6 | 指摘された場合も、通常会社としては不当に傷つけるといった意図はなく(指摘する側も最大限言い方には配慮することが大前提)、周囲の社内環境・職場マナーのために指摘されているとして理解する。もし病気等があれば上長等に相談しておくことで、周囲の理解が得やすいこともありえるため、ご自身判断にはなるが伝えておくことも一案(従業員の健康情報は機微情報であり個人情報は限られた範囲でのみ公開とはなる) |
