定額40万円!申請受付中の東京都の企業向けカスハラ対策奨励金とは?
- 寺島戦略社会保険労務士事務所
- 7月9日
- 読了時間: 7分
顧問先様からも注目が高く5月頃から「東京都の企業向けカスハラ奨励金の詳細ってわかりますか?」といった問い合わせも多く注目度が高いカスハラ対策奨励金。
いよいよ6月末から申請が開始されています!
主な要件は下記のとおりです。
対象企業 | 常時雇用する従業員300人以下の企業等 |
主な要件 | (1)カスタマーハラスメント対策マニュアルの作成 (2)以下①~③いずれかひとつの対象の取組の実施 ①録音・録画環境の整備 ②AIを活用したシステム等の導入 ③外部人材の活用 |
奨励金額 | 40万円(定額) |
第1回申請受付期間 | 2025年6月30日(月)~2025年8月8日(金)17時まで ※年3回 各回1000件予定 ※各事業者1回しか申請できない。 |
申請前に事前準備が必要!
本カスハラ対策奨励金はデジタル庁が提供する電子申請システム(jGrants)でのみの受付となっています。そのため、郵送等では申請がおこなえません。
また、このjGrantsを利用するためには法人共通認証基盤アカウント「GビズID」(gBizIDプライム)の取得が必要とされています。
なおGビズIDには①プライム②メンバー③エントリーという3種がありますが①のプライムの取得が必要となる点に留意が
必要です!
マイナンバーカード等があればオンライン申請も可能ですが、郵送の申請の場合審査にも時間がかかるため、注意が必要です。
申請から振込までの流れ

東京都の奨励金はよく「事前エントリー制」というのをとっているのですが、本カスハラ対策奨励金はそうした事前エントリー制・抽選のような流れはとられていません。
とはいえ、申し込み企業数に上限があるため希望する企業はなるべく早くお申込みいただくのが良いかと思います。
対象事業者の要件
対象事業者の要件は下記の通りです。1の企業の要件ですが、会社法上の会社だけでなく、一般社団法人、弁護士法人等の士業関連法人、医療法人、社会福祉法人、学校法人、協同組合、一定のNPO法人等のほか個人事業主も広く対象です!
1.常時雇用する従業員の数が300人以下の企業であること
2. 都内で事業を営む中小企業等または個人事業主であること
3. 東京都政策連携団体の指導監督等に関する要綱(平成31年3月19日付30総行革監第91号)に規定する東京都政策連携団体、事業協力団体又は東京都が設立した法人でないこと
4. 中小企業等の場合は都内に本店登記、または支店の事業所があること
5. 個人事業主の場合は都内税務署へ開業届を提出していること
6. 都内の事業所で継続的に1年以上事業を行っていること
7. 都内の事業所で実質的に事業を行っていること
8. 都税の未納がないこと
9. 過去5年間に重大な法令違反等がないこと
10. 民事再生法(平成11年法律第225号)、会社更生法(平成14年法律第154号)、破産法(平成16年法律第75号)に基づく申立・手続中(再生計画等認可後は除く。)、又は私的整理手続中など、事業の継続性について不確実な状況が存在していないこと
11. 労働関係法令について遵守していること
12. 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業、当該営業に係る「接客業務受託営業」及びこれらに類する事業を行っていないこと
13. 暴力団員等(東京都暴力団排除条例(平成23年東京都条例第54号。)第2条第3号に規定する暴力団員および同条第4号に規定する家力団関係者をいう。)、暴力団(同条第2号に規定する力団をいう。)および法人その他の団体の代表者、役員または使用人その他の従業員若しくは構成員が暴力団員等に該当する者でないこと
14. 本奨励金をすでに受給(受給予定も含む)していないこと
15. その他、財団理事長が適当でないと判断した場合は本奨励金の対象外とする
対象となる取組要件
対象となる取組要件については、下図のとおりです。必須取り組み1と2は共通で、3はどれか一つを取り組むことになります。

必須取組1 カスハラ対策マニュアル策定時の留意点
奨励金受給要件のカスハラ対策マニュアルについては、「作ればなんでもいい!」というわけではなく、以下の内容を必ず盛り込む必要があります。
① カスタマーハラスメント対策に関するマニュアル作成の目的(「条例」についての言及、策定の背景や組織的な対応の必要性等) |
②カスタマーハラスメントの定義 |
③カスタマーハラスメントに対する基本方針 |
④顧客対応の考え方(心構え、クレーム初期対応、顧客等の権利の尊重等) |
⑤カスタマーハラスメントへの対応(カスタマーハラスメント判断や対応フロー等) |
⑥社内体制整備(相談窓口の設置、研修実施、再発防止の取組等) |
⑦企業間取引での対応(カスタマーハラスメント防止の基本姿勢、取引先へのカスタマーハラスメント禁止等) |
さらに、マニュアルを作ったうえで周知が必要です!この周知についても、申請実務の留意点としては周知したことが確認できる書類を申請時に添付する必要があります。
紙での掲示の場合、掲示されている写真を日付入りで撮影し申請の際に添付するイメージになります。社内イントラ等で公表する場合には公表文面に日付をいれてあるものをスクリーショット等をとり、添付するイメージとなります。(2025年6月30日公益財団法人 東京しごと財団カスタマーハラスメント防止対策推進事業 企業向け奨励金事務局に当社が電話で確認)
メールでの周知ですと、メール上でも日付が自動的に入りますので簡便かもしれません。
その他必須取組2の基本方針も周知が必要ですし、取組3においても「AIを活用したシステム等の導入について社内に周知したこと」という要件があり、同じように申請の際に周知した証拠を添付する必要があります!
(参考:AI導入 社内通知文 Sample)

申請時の必要資料(「外部人材の活用」以外の場合)
1.支給申請書 (様式1号)
2. 誓約書(様式2号)
3. 事業所一覧(様式第1号別紙)
4. 会社案内または会社概要(HPの写し等)
5. (法人の場合) 商業・法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書) (個人事業主の場合)個人事業の開業・廃業等届出書
6. (個人事業主の場合)代表者の住民票
7. (登記上の本店が都外の場合のみ提出)直近の水道光熱費の領収書や賃貸借契約書
8. 法人の場合は法人事業税納税証明書、個人事業主の場合は個人事業税納税証明書
9.法人の場合は法人都民税納税証明書や、個人事業主の場合は住民税納税証明書
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10.カスタマーハラスメント対策に関するマニュアル
11.カスタマーハラスメント対策に関するマニュアルを社内に周知した内容が確認できる書類
12.カスタマーハラスメントに対する基本方針
13.カスタマーハラスメントに対する基本方針を社内と社外に周知した内容が確認できる書類
14.
取組①録音・録画環境の整備の場合
A. 録音・録画機器購入時の領収書またはリース等の契約書
B. 録音・録画環境の整備状況が分かる書類 (購入またはリース等の契約をした機器本体の写真)
C. 録音・録画機器のパンフレット等
D. 録音・録画環境の整備について社外に周知した内容が確認できる書類
取組②の場合
A.AIを活用したシステム等導入時の領収書またはシステムサービス等の契約書
B.AIを活用したシステム等のパンフレット等(「AIが活用されていること」と「カスハラ対策に利用できること」について、いずれもパンフレットやHP等で記載が確認できること)
C.AIを活用したシステム等の導入について社内に周知した内容が確認できる書類
実務上迷うものはやはり「周知」関連の書類だと思いますが、上述のとおり写真であったりスクリーショット等をとるということになります!
国の助成金に比べるとこれでも比較的申請資料等は少ない印象を持っており、自社で申請することも十分に現実的に可能な奨励金という印象を持ちます。
是非活用してカスハラ対策を進めましょう!
