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当月末締め当月25日払いの場合、中途入社者の賃金を翌月にまとめて支給でもいい?


労務の実務の現場において、よくあるご相談の一つ、「当月末締で当月25日払いの場合(割増賃金等は翌月25日払い)ですが、中途入社で23日入社の方等の賃金は翌月25日の支給でまとめて支給してもいいですか?」というのがあります。


確かに当月末締め翌月25日払いであれば、こうした論点はないものの、当月支給の場合この論点があります。


皆様賃金支払いの5原則に反しないか、といったところを気にされているようです。


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  1. 賃金支払いの5原則とは?


賃金支払いの原則とは労働基準法第24条に基づき下記赤太字部分の5つの原則を指すものです。


(賃金の支払)

第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

② 賃金は、毎月一回以上一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。


つまりまとめますと下記の通りです。

  1. 通貨払いの原則:賃金は現物等ではなく原則通貨で支払わなければならない という原則

  2. 直接払いの原則:賃金は労働者本人に直接支払う という原則

  3. 全額払いの原則:勝手に法定項目(所得税、社会保険料等)以外を控除する等をしてはならないという原則

  4. 毎月1回以上払いの原則:少なくとも月に1回以上の支払いが必要という原則

  5. 一定期日払いの原則:支払日はあらかじめ決められた一定の日 とする原則


確かにこの原則に照らすと23日入社の方にも、急いで給与計算をして2日後の25日に支給するということ自体ができればより理想的だとは考えますが、実務としてあまりに時間がないということも事実と考えます。


かつ、賃金実務としてそもそも「末締め翌25日払い」等が一般的であるという社会通念があるなかで、たとえば23日入社の方の賃金にについて、翌月の25日にまとめて支払うことがあっても、社会通念に照らしても、労働者が被る不利益が大きいというわけでもないと考えます。


  1. 他社でも実際どういうふうにやってる?


実際当社が労務顧問をしている上場企業様においても、当月末締め当月25日払いの企業(残業代等は翌25日)の場合「15日から末日までに中途入社した場合、その期間の賃金は初回のみ翌月25日に支払うものとする。」といった賃金規程の条文を記載しているケースも比較的多くみられます。


過去10年以上、労基署等実務等においても、こうした対応が賃金5原則に反しているといって是正勧告書が出るといった経験もありません。


そのため、実務上こうした中途入社の方の賃金の翌月まとめて支給については、問題にされるケースはないと言っていいと考えています。





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